組紐文化研究所
歴史の探求、技術の体系化と保持
日本の組紐には、仏教とともに伝来して以来1500年の歴史があります。その間に、驚くほど高度な組紐が数多く生み出されてきました。しかし、今日に実物や記録、技法が残っているものは、その全体像に比べればほんの一握りにすぎません。道明では、明治期以降に伝わる歴史的な組紐の調査と研究を重ね、その多くを復元・模造してきました。日本中の組紐を調べ尽くしたと思っても、数年に一本のペースで、まだ見たことのない組紐が発見されます。当研究所では、そうしたいにしえの組紐の情報を集め、復元・模造を通じて、組紐技術の体系に残された失われたピースを埋めていきます。

2022年
聴竹居の家具のパイピング
Furniture piping at Chochikukyo




聴竹居は京都府山崎町にある重要文化財の住宅で、1928年に建築家の藤井厚二の自邸として建てられました。日本の気候風土に合わせたエコロジカルな設計が特徴です。道明では2022年の大規模修繕工事に合わせて劣化した家具の組紐でつくられたパイピングの修復を行いました。

2021年
ジャパンハウス巡回企画展
JAPAN HOUSE touring exhibition
JAPAN HOUSEはロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの3都市にある日本文化の発信拠点です。この3館をめぐる巡回企画展として2021年のロサンゼルスを皮切りに、2023年のロンドン展まで足掛け3年にわたり、『 KUMIHIMO The Art of Japanese Silk Braiding by DOMYO 』 展が開催されました。日本の組紐の展示としては過去最大で、各国の多くの人々に日本の組紐の魅力を知っていただくことができました。 全体の企画・構成は橋本 麻里氏が行い、各会場の展示設計は建築家の三井 嶺氏が担当しました。また、東京大学舘研究室や衣服標本化の長谷川彰氏など多くの方のご協力によって充実した展示内容になりました。全体は下記の3部構成になっており、それぞれの構成に合わせてミニマムな白い木軸フレームが空間を分割しています。このフレームは全く異なる平面の3会場に適応できるフレキシブルな構造となっています。
1部 組紐の歴史 History
2部 組紐の構造 Structure
3部 組紐の未来 Future
ジャパンハウス LA 2021年12月10日(金)〜2022年3月10日(木) ロサンゼルスのチャイニーズシアター直近にあるジャパンハウスです。2021年中に制作した展示品を空輸したものの、コロナ禍で現地に行くことはできませんでしたが、リモートで設営を完了し、3カ月間の展示期間で多くの方に来場いただきました。



ジャパンハウス サンパウロ 2022 年 5 月 24 日~ 2022 年 8 月 28 日 サンパウロ展では実際に現地に行くことができ、現地にて設営を行い、また現地の多くの方々と交流することができました。南米には古来より組紐の文化があり、レクチャーではブラジルの繊維工芸の方々とお会いすることもできました。



ジャパンハウス ロンドン 2023 年 2 月 23 日~ 2023 年 6 月 11 日 最後の展示会場であるロンドンでは、道明の工房の再現展示、古来からの結びの展示など、コンテンツを大幅に追加しました。また、コロナ禍が明けていたこともありワークショップなどにも力を入れました。本物の組台を用いた組紐体験や、各種レクチャー、交流イベントが開催されました。




2020年
円覚寺の紐の調査と復元模造
Research and reconstruction of the Engaku-ji cord



鎌倉の円覚寺に伝わる用途不明の組紐の調査を行いました。唐打ちの中に2枚の平組が入っている非常に珍しい構造の紐でした。この紐に調査により得られた知見は後に、丸組の発展過程の研究という大きなテーマに統合されに生かされました。

2018年
シルクファクト岡谷「糸を組む」展
‘Braiding Threads’ exhibition at Okaya Silk Museum



2018年に長野県岡谷市の岡谷蚕糸博物館(シルクファクト岡谷)にて道明の組紐の展示が行われました。製作工程から歴史的銘品の復元模造品、現代の組紐など、総合的な展示内容で好評を博しました。

2017年
東博茶の湯展コラボレーション
Collaboration for the Tea Ceremony exhibition at the Tokyo National Museum



東京国立博物館で開催された大規模な茶の湯の展覧会にて、コラボレーション帯締めを製作しました。重要文化財の2つの茶碗「馬蝗絆」と「油滴天目」の形状、色彩、由緒、見所など様々な要素を組紐という一本の線の中に落とし込みました。

1985年
唐組垂飾の研究と復元模造
Research and reconstruction of karakumi hanging decoration cords




法隆寺が所蔵していた国宝の二菱の唐組です。国内には24条ほどが残っていると言われています。道明では1975年以降各所の唐組垂飾の調査研究を行い、1985年に復元模造を完成させた。金具は京都の森本錺金具製作所に依頼した。

1984年
平緒の研究と試作
Research and prototyping of Hirao cords



平安時代より宮廷の武官の装束に用いられている平緒の研究と試作を行った。1975年には京都国立博物館所蔵の5本の平緒の調査を行っている。その後5本の段染めの平緒を製作した。一本当たり組だけで1年を要する。段染めは糸の通り道ごとに染の長さを数ミリ単位で調整する必要があり、試作を重ねて徐々に段のずれを修正していく。

1970年
並行台による復元模造
Parallel braiding stand



正倉院の組紐の復元模造のために、奈良時代にはこのような組台を使用していたのではないかという想像のもとに製作したのが並行台です。正倉院の組帯の格子柄にみられる特徴的なカーブを再現することができます。また、非常に幅広の組紐を作ることも可能です。

吊香炉の紐
Cords for a hanging incense burner

正倉院宝物にも見られる香炉は3本の組紐によって吊られます。香炉は球形で、中で三つのリングが独立して動くことにより、ろうそくが倒れないよう皿を水平に保ちます。

吊棚の紐
Cord for a hanging shelf

日本家屋や料亭の床の間の違い棚を固定する紐です。中心部にネジ山を切った金属製の芯が入っており、その周りを唐打ちで覆っています。
