道明の仕事

明治から大正にかけてほとんどの組紐店が機械化していく中6代目道明新兵衛は、頑として職人の手による糸組を守りました。

 
 

組む

世の中には、繊維と繊維を合わせて加工する代表的な技術が3つあります。それは、織る、編む、そして組む、です。これらはそれぞれに異なる本質的構造を持っています。組む、それは束ねた糸が斜めに走り、端部で折り返されてジグザグにどこまでも長く伸びていきます。組むことによって作り出された紐、それを組紐と呼びます。糸と糸が交差することで美しい組目を作り出します。 

組むということ

それは果てしない反復の作業。同じリズムで、同じ手加減で、はじめから終わりまで均質な紐を作り出します。雨の日も、風の日も、ご機嫌な日も、不機嫌な日も、毎日変わらず組み続けなければなりません。特に雑念は紐の出来栄えに大きく影響します。心を無にすることが大切なのです。
 

 

 

手染であること

糸染は組紐作りの最初の工程です。色糸はすべて道明の職人が一色一色染め上げます。
これにより、無数の色を自由に組み合わせて組紐を作ることが出来るのです。単色の組紐では、その一色の美しさを、いかに明確に、かつ深みを持って表現できるかということが大事です。
多色使いの組紐では、それぞれの色が持つ微妙な色相、彩度の違いが、全体の印象に大きく影響しますので、色と色との関係性が重要です。美しく、かつ適切な色に染められるかが、よい組紐作りの第一歩なのです。
 

 
手組であること

手組の組紐には、機械生産の組紐にはない伸縮性と風合いがあります。それは、熟練した職人達が自らの経験により、力のかけ方の強弱や、微妙な手加減を知り尽くしているからこそ出せるものなのです。機械による単調な力加減によって作られる紐は、職人の手によって作られる複雑で繊細な紐には遠く及びません。手組の組紐には、職人達それぞれの個性が見られます。同じ組方や糸を用いても、二つとして同じものは存在しないのです。

 
いかに美しく

組紐の組方は数百種類にも及びますが、大きく分けると薄くて幅広の平組と、丸みを帯びて厚みのある断面の角組に分類されます。また、同じ組方の組紐であっても、手持ち(玉一つにつける糸の本数)、玉数の大小により繊細さが全く異なります。手持ちを増やして玉数を減らせば手間をかけずに早く組むことができますが、大振りで粗い組織の紐になってしまいます。
さらには色相、色数、柄置き(糸を並べる順番)の違いによって組紐はその意匠を様々に変化させます。多大なる労力をかけ無数の色の中から最適な組合せと置き方を見つけていきます。