組紐文化技術研究所

Kumihimo Culture & Technology Research Center

 

工業、医療、服飾、飲食業、デザイン性を求める分野等、伝統工芸に限らず、様々な分野からの組紐技術を活用した製品、実用品のご依頼を受け付けております。

  

 

 

組紐技術のさらなる進化

組紐とは細い一本の紐の中に様々な意匠、構造、機能を詰め込むことができる、日本で独自の発展を遂げた伝統技術です。その膨大に蓄積された歴史的な技術を学ぶことが、良い組紐、そして応用的な組紐を作るために重要となります。歴史上様々な用途に用いられてきた組紐ですが、現代においてはその技術の普遍性にもかかわらず、非常に限定的な分野での利用に限られております。それゆえに新しい分野への展開、新しい技術や素材との組み合わせ、環境に配慮した持続可能なものづくりなど、未来に向けての様々な発展と進化の可能性が残されていると考えております。

 

歴史の探求、技術の体系化と保持

日本の組紐には仏教ともに日本に伝来して以来1500年の歴史があります。その間に様々な驚くべき高度な組紐が開発されてきました。しかし、現代に実物や記録、技法が残るものはその全体像に比べほんの僅かではないでしょうか。道明では、明治期以降現代に残される様々な歴史的組紐の調査と研究を行いその多くを復元模造してきました。日本中の今に残る組紐は調べつくしたかと思えば、数年に一本のペースで見たことのない組紐が未だに、発見されます。当研究所ではそういったまだ見ぬいにしえの組紐の情報を収集し、復元模造を通じて組紐技術の体系の失われたピースを埋めていきます。また過去において編み出された様々な技法を、お客様の様々な特別な組紐のオーダーにお応えできるよう、生きた技術として保持していきます。

 


染めについて

糸染は組紐作りの最初の工程です。色糸はすべて道明の職人が一色一色染め上げます。これにより、無数の色を自由に組み合わせて組紐を作ることができるのです。単色の組紐では、その一色の美しさを、いかに明確に、かつ深みを持って表現できるかということが大事です。多色使いの組紐では、それぞれの色が持つ微妙な色相、彩度の違いが、全体の印象に大きく影響しますので、色と色との関係性が重要です。美しく、かつ適切な色に染められるかが、よい組紐作りの第一歩なのです。
道明の糸染で使用している染料は科学染料です。科学染料は天然染料と比較すると耐候性や退色性といった色の堅牢度が高く、さらには色鮮やかで安定した染色を行うことができます。天然染料は当時の糸染を再現すべく、歴史的組紐の復元模造等で用いります。
用途に合わせた染め、天然染料による染めも承ります。

 

 
組紐を何に使うか

株式会社道明の主な生産品は着物の帯締です。また、世界中の人々に組紐を知ってほしいとの思いから、2016年に洋装部門の「DOMYO」を立ち上げました。身に纏うもの以外の用途として、伝統的に刀剣の紐、箱の紐、建築部材の一部などにも用いられています。しかしそれでも、組紐が一次元の線という非常に一般性の高い形状を作り出す技術であることを考慮すれば、まだまだはるかに多くの分野での活用が可能であると考えられます。新しい分野に組紐技術を使用するメリットを明らかにし、また適応を妨げる技術的な問題点を解決し、利用の提案から技術開発までを一連の流れとして行います。

 

 
先端分野で活かす組紐

カーボンで作られた紐が航空産業や、工業製品の部品に用いられるなど、確かに組紐技術はすでにいくつかの先端分野で利用されています。しかし、それらは唐打ちや四つ組、丸八組、角八組といった、組紐の中でも最もシンプルで基本的な組方がほとんどです。日本の組紐の真髄は、基本単位の組紐を様々に複合させて多彩な意匠、構造、機能を持った紐を作る、その高度な複雑性にあります。複合的な組紐においては前述のシンプルな組方よりもはるかに多くのパラメータを操ることができますが、それこそが正倉院から現代にいたるまでに築き上げられた組紐の長い技術発展の歴史によって可能になったことなのです。本研究所ではそういった複雑な組紐技術が先端分野から一般分野まで幅広く用いられることを目指します。

 

 
組紐と未来

道明においてはこれまで
⑴    伝統的な組紐技術、または伝統に立脚した新しい組紐技術を用い、
⑵    手染め手組みで、
⑶    シルクという原材料を使って
組紐を製作してきました。しかし、これからの時代に様々な分野において組紐技術の全く新しい活用を行うため、必要に応じて既存のルールを逸脱していきたいと考えております。⑴の伝統技術の利用については、これこそが組紐のコアバリューですので外すことはできないものです。
しかし⑵においては、例えば莫大な数量、物量を要する利用方法や、微細なスケールで厳密な製造精度を要する利用方法については、手仕事以外の方法での製作も考慮します。
⑶原材料について、現状における組紐の意匠や機能性はシルクという素材の組成によるところが大きいです。しかし、現状の用途よりもはるかに耐久性、耐候性を要する利用方法や、光る、透ける、温める、冷えるなど特殊な機能が必要とされる利用方法においてはシルク以外の素材の使用も考慮します。
有職組紐道明、「DOMYO」、道明組紐教処においてはこれまで通り手染め、手組みのシルク製の組紐づくりを追求します。しかし、組紐文化技術研究所での組紐づくりにおいては素材や製造方法における枷を外し、組紐技術の可能性を全方位に渡り徹底して追及致します。

 

 

 


組紐文化技術研究所
Kumihimo Culture & Technology Research Center
 
東京都台東区上野2-11-1 株式会社 道明内 
tel 03-3831-3773
mail info@kdomyo.com